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第7回事業創出サロン【テーマ:治療と診断】

今回は平成23年4月28日に開催された第5回「セラノスティクス」パート2です。テーラーメード医療が普及するなか、治療薬と診断薬は切っても切り離せなくなってきており、治療方法を決定するための診断薬の開発を基軸としたビジネス戦略が重要性を増しています。これを「セラノスティクス(Theranostics  = Therapeutics + Diagnostics、治療+診断)」と呼びますが、製薬企業の開発の現場でもこのセラノティクスが注目を浴びています。前回は「セラノスティクス」を話題として取り上げ、効率的な創薬、そして診断薬、バイオマーカーの開発に関し、我が国として具体的にどのように進めるべきかについて議論しました。今回は、前回の話題提供者である産業技術総合研究所の三宅先生に加え、「おくすり体質検査」サービスをすでに開始されている株式会社メディビックの橋本社長(医学博士)もご参加。研究機関からの問題提起と、実際に遺伝子検査を提供している企業の実践という立場からお話いただき、議論を深めました。

開催日時 平成23年6月23日(木) 13:00~15:00
開催場所 京都リサーチパーク 東地区1号館2階 サイエンスセンタークラブ
内  容 ■セラノスティクス(治療+診断)-バイオマーカー探索とテーラーメード医療に向けて
三宅 正人氏(独立行政法人産業技術総合研究所 イノベーション推進本部 連携主幹)

■「おくすり体質検査」とテーラーメード医療
橋本 康弘氏(株式会社メディビック 代表取締役社長)

【講師ご略歴】

三宅正人氏
1990-1994年 通産省工業技術院研究員
1994-2001年、同主任研究員
2001-2004年 産業技術総合研究所ティッシュエンジニアリング研究センター
2005-2010年 同セルエンジニアリング研究部門
2010年   同バイオメディカル研究部門・細胞情報工学連携研究体長を経て、2011年4月より現職
1999-2001年 国際ヒューマンフロンティアサイエンス財団フェローとして米国スクリプス研究所に留学
2003年    フランス・ルイパスツール大学客員教授
2004年12月 (株)サイトパスファインダーを設立、同取締役を兼任
2006年から1年間 ベンチャーへ休職出向、ベンチャー事業の開拓に専念
2007年    産業技術総合研究所復職。
橋本康弘(易周)氏
1983年 大阪大学医学部卒業米ハーバード大学医学部にて3年間研究員
1986年 米ペンシルバニア大学医学病理学部助教授、准教授として、アレルギーと遺伝子の研究を行う
1993年 日本シンテックス株式会社(現:中外製薬株式会社)の免疫研究所長に就任。シンテックス社とロシュ社合併に伴い、米国ロシュバイオサイエンス・バイオテクノロジー事業部長を兼務する
1997年 日本グラクソ株式会社筑波研究所の分子生物研究部門と遺伝子部門の部長としてテーラーメード医薬品開発を行う
2000年 メディビック(現・メディビックグループ)を設立し代表取締役に就任、現在に至る
2003年 東京証券取引所マザーズに上場し
2004年に「経済産業大臣賞(起業家部門)」及び「2004年デロイトトウシュトーマツ日本テクノロジーFast50」第1位受賞

【講演内容】

■セラノスティクス(治療+診断)-バイオマーカー探索とテーラーメード医療に向けて
独立行政法人産業技術総合研究所イノベーション推進本部 連携主幹 三宅 正人 氏

(要旨) 「セラノスティクス」は治療方法を決定するための診断薬の開発を基軸とした個別化医療ビジネス戦略を意味する造語である。製薬企業では、バイオ医薬品に力点をおいているロシュ社が先行して個別化医療のビジネスを行っている。低分子化合物の開発が中心の国内企業では顕著な動きは表面化していない。医療機関では、特に癌治療薬の処方に際し、患者の負担を軽減するために、作用や副作用を予測するためのバイオマーカー探索が続けられている。アカデミアでは、新しい原理に基づくバイオマーカー探索が進められている。また、アカデミアによって構築されたバイオマーカーデータベースは、製薬企業や医療機関での患者の層別化に大きく貢献している。 セラノスティクスは医療費の削減、患者のQOL向上、医療の質の向上などに貢献することが期待される。上記の現状を踏まえたうえで、国として今後投資すべき技術開発課題について、参加者と議論させていただきたい。

■「おくすり体質検査」とテーラーメード医療
 株式会社メディビック 代表取締役社長 橋本康弘 氏

(要旨) 2003年にヒトゲノムの解読がすべて終了して以来、さまざまな分野でゲノム情報の活用が期待されています。その中でも、特に期待されているのが「テーラーメード医療」の分野です。 薬の効き方には個人差があり、それは遺伝子の違いにより生じています。テーラーメード医療の代表的なものには、遺伝子の違いを調べることで、個人一人ひとりに効果が高く副作用が少ない薬や治療を提供するアプローチがあります。当社は2000年の設立以来、個人の体質に合わせた薬剤の開発のために、大手製薬企業などを対象に、テーラーメードの新薬開発支援を行ってまいりました。この事業を通して、製薬企業ではテーラーメードの医薬品を開発することにより、薬剤の安全管理に多くの努力を払ってきていることが認識できました。 一方で医療現場では、治療薬の多くの情報充分に活用できないことが頻繁に起き、テーラーメード医療の普及の障害になっていることも理解できました。このような障害を克服するために、弊社では「おくすり体質検査」では、個人個人の薬剤代謝酵素遺伝子を検査することで、薬剤を代謝する能力の個人差を調べ、あらかじめ自分自身のもっている薬剤への反応性を認識できるような検査の提供を行っています。将来薬剤を使わなければなら ない状況になった時に、より安心して薬剤を使用できるようにテーラーメード医療への、医療を受けるサイドに対しての、個人の体質情報の提供を行う事業を紹介。

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