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第1回事業創出サロン【テーマ:糖鎖】

我が国のバイオ研究の中において、昨今注目されているiPS 細胞と並び世界のトップを走っていると称されております糖鎖工学、糖鎖解析の分野をテーマとしました。
第3 の生命鎖と呼ばれる糖鎖ですが、事業化はまだ緒に就いたばかりです。一方、この解析手法は、ロシュ社のPCR やイルミナ社のSNPs解析及び次世代シークエンサーと並ぶ世界的な標準となる可能性を持った、我が国発の技術でもあります。

【講演者】

開催日時 平成26年12 月17 日 13:00~15:00
開催場所 京都リサーチパーク 東地区1号館2階 サイエンスセンタークラブ
演 者 山田雅雄氏
(株式会社GP バイオサイエンス取締役 )
テーマ レクチンマイクロアレイが与えるポストプロテオミクス へのインパクト

【講師ご略歴】

pic_yamada 名古屋大学大学院工学研究科博士後期課程卒、富士通株式会社電子デバイス事業本部R&Dで課長、部長職を含め19年努めた後、日本レーザー電子株式会社(取締役副社長)を経て、株式会社モリテックス入社(日本レーザー電子の事業譲渡による)、グライコミクス研究所を立ち上げる。その間、Stanford Univ. Consulting AssociateProf. 名古屋大学客員教授なども歴任。モリテックスでは、理事及びグライコミクス研究所長を努める。現在、㈱GPバイオサイエンスにおける取締役最高技術責任者を務める。

 

【講演内容】

糖鎖は、第3 の生命鎖として幅広い生命現象で重要な役割を担っており、特に応用面においては、バイオマーカー、幹細胞、感染症、免疫不全、そしてまた急成長を続けるバイオ医薬品らの分野において、熱い視線を集めている。
糖鎖構造を簡易的に解析する手法として、糖鎖結合型タンパク質(レクチン)を用いる手法が注目されている。GPバイオサイエンスが開発した手法は、弱い分子間相互作用を非破壊でモニターすることができるエバネッセント波蛍光励起スキャナーと組み合わせた技術であり、著者らが知る限り、世界で最も高感度で簡易的な糖鎖構造の解析技術であると考えられる。実際、10ngのタンパク量があれば十分その糖鎖構造を解析できる感度を持ち、それが故に、微量なバイオマーカーを探査する上において、なくてはならないスクリーニングツールとなっている。例えば、産総研が新たに開発した肝臓繊維化マーカーらは、この技術なくしては実現不可能なものであった(NEDO MG Project、産総研糖鎖医工学研究センターの成松先生、平林先生らの成果)。
また、hES, iPS, MSCなどの幹細胞の標準化では、細胞表面の糖鎖に着目した細胞評価法が大きな注目を集めている(産総研幹細胞工学研究センターの浅島先生、同医工学研究センターの平林生、国立成育医療センターの梅澤先生ら)。糖鎖は細胞の顔と呼ばれる程、細胞の状態には敏感であり、それを高感度かつ簡易的に計測することができるGPバイオサイエンスの手法は幹細胞の標準化に大いに貢献するものと期待されている。レクチンマイクロアレイの応用は、バイオマーカーや幹細胞だけに留まるものではなく、ポストプロテオミクス時代の基礎研究を大いに加速し、新たな診断手法の開発を促進し、そしてまた創薬支援にも大きく貢献するものと考えられる。

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