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コラム「新型コロナ環境下で変わる世界 移動制限下で増す仮想空間での経済活動」が北海道新聞に掲載されました。

1/20、北海道新聞「寒風温風」にコラム「新型コロナ環境下で変わる世界 移動制限下で増す仮想空間での経済活動」が掲載されました。

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(掲載コラムより引用)

新型コロナウイルス感染拡大を受け、関東と関西などで緊急事態宣言が発令された。外出・移動の自粛や飲食店の営業時間の短縮などが要請されている。年末にかけて感染者は急増し、感染力の強い変異ウイルスの登場もあり、状況はしばらく改善しそうにない。

北海道ではさっぽろ雪まつりをはじめ冬の祭りはほぼ全て中止となった。筆者のいる京都でも外国人観光客が途絶え、「Go To トラベル」停止が追い打ちをかけた。観光、飲食、土産に加え、成人式や結婚式、入学式など催しの需要が消失して伝統産業が大きな痛手を受け、経済基盤の崩壊が危惧されている。今後、人の移動を前提とするビジネスを作り出すことは難しいと考えた方が良い。

■出掛けずに万博体験

そこで注目されるのがバーチャル(仮想)空間だ。2025年開催予定の大阪万博では開催前年の24年にバーチャルパビリオンを開設することを検討している。この万博は実際に会場に足を運ぶ来場者と同等、もしくはそれ以上にバーチャル会場に訪れる来場者が重要かつ多くなる初の万博となるだろう。バーチャル会場の来場者はパビリオンを見学し、イベントやアトラクションを体験し、お土産を買う。モノやコトの消費が仮想空間で起きる。

そして万博会場だけでなく、この機会に合わせバーチャル大阪やバーチャル京都(寺院、博物館、店舗、自然景観)などが立ち上がり、万博に来なくても大阪や京都、ひいては日本の観光や体験、観劇・観戦ができるようになる。アバター(自分の分身)がパビリオンを巡り、イベントに参加し、観光名所を回る。またVR(仮想現実)を使って、実際に現場にいる感覚を味わう。遠くにいながら京都や北海道の色を味わうこともできるようになるかもしれない。バーチャル空間に経済圏が登場するのだ。

ここではVR、触感技術、AI(人工知能)など先端技術が大きな役割を持つ。さらにバーチャルで万博や大阪、京都を訪れて、ずっと住みたいと思った人はeレジデント(デジタル市民)という形で大阪や京都の市民になってもらう。このように実際の居住地からの移動は制限されていても、バーチャル空間の中で旅行もでき、居住もできる。

■地域もデジタル加速

eレジデントになれば税金も払うが公共サービスは享受する。支払いはデジタル地域通貨だ。既存のキャッシュレスと異なり21世紀の石油と言われるデータという資源を地域で把握できる。他の地域通貨や決済手段とも互換性があり、決済コストと業務量を大きく削減できるメリットもある。

菅内閣が推進する自治体デジタル改革を加速することにもなる。筆者と大阪商工会議所は万博に合わせデジタル地域通貨「まいど(仮称)」を発行し流通させることを提案。人口減少に悩む地域にとって新たな解決策でもある。今後、北海道が観光や体験、食を売っていく際も、バーチャル空間での経済活動の創出が非常に重要になる。北海道では世帯普及率約70%のポイントカード「エゾカ」があり、デジタル化への布石は敷かれている。バーチャル空間上でどんな北海道が生まれてくるか楽しみだ。

(まつだ・いっけい=合同会社SARR代表執行社員)

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